親になって考えることは、自分の子供は同じようにかわいいわけだし、いつの日か自分の財産を分ける事になれば、平等に受取ってもらいたいというのが親心だ。いろいろな考えがあるので、必ずしもそうではないかもしれないが、多くの場合は洋の東西を問わず、そう思うのが親心だろう。
アメリカの○○州△△市に住むアメリカ人のAさんは、十年前に夫を亡くしている。自分としてもいつの日かのために遺言を作成した。しかも弁護士を入れてきちんとした内容にしたので、親の責任を果たしたと思う。そして、いつのまにか時間は流れ、Aさんは亡くなる。遺言は裁判所で確認され、親の思うとおりに、相続の税金を払うことなく、平等に子供たちに財産が引き継がれる。
さて、相続人である兄弟姉妹の一人だけが結婚して日本に住んでいた。
アメリカにいれば、相続をする人は遺産税を払うことはない。日本は相続をした人が税金を払う。いかに一連の出来事がアメリカで行われて、関係者がすべてアメリカ人であるにもかかわらず、日本に住んでいるばかりに日本の相続税に巻き込まれる。
では、相続税をどのように計算するのか、全くアメリカでの話であるにもかかわらず、適用する法律は日本の法律でしかない。すると、アメリカの○○州△△市にある不動産に対して相続税評価額?路線価や倍率方式で評価して、補正率がどうこうでという世界に入り込む?
およそ日本人が、日本の財産を対象にしたものであっても耳慣れない話である。アメリカ人にこれを英語で説明してわかってもらうのは???という世界でしかない。けれども、アメリカはどうであれ日本は日本でしかないのだ。ここはどうしようもない。あれこれ計算して、日本の税額が算出される。
さて、亡くなった親にしてみれば、自分の子供たちは同じようにかわいいわけだし、平等に財産を分けてあげた。確かに、関係者が全員、アメリカの中にいればその通りだった。たまたま、相続人の一人が日本にいたばかりに、日本で相続税を払うことになった。他の兄弟姉妹はアメリカにいて遺産税を払うことはない。
アメリカの中では、遺産財団が税金を払った後でネット財産額にして相続するので、相続人は税金を考えなくても良い。でも、日本に住んでいる人は、相続する財産から税金を払わざるを得ない。
ならば最初から、その税金分も兄弟姉妹で平等に負担して、手取りの額が平等にならないとかわいそうな話になるのではないだろうか。いやそんなことはない、税金を払う前の段階で平等に分けられている。たまたま日本に住んでいるから結果としてそうなったのであり、これはどうしようもないことなのだと考えるのでろうか。かくして、兄弟姉妹がいつのまにか争いごとに巻き込まれる。
亡くなった親にしてみれば、アメリカの相続法を考えてきちんと目的を達成したはずだ。日本の相続が顔を出した時に、思いもしない事態になる。