そもそも退職金というのは何なのかと思うことがある。長い間、会社に勤務して貢献してくれたので、どうもありがとうというねぎらいのお金なのだろうか。なかなかありがたい制度に思える。しかし、退職金をもらうためには、一定の期間、会社に勤務していなければならない。特別な貢献をした人だけがもらえるかといえば、金額の大小はあるにしてもみな同じように退職金をもらう。
支給の事由が長年、会社に勤務して貢献したこととだとする。それだと、会社に対する効用の提供に対する反対給付が、本来は給与ではないのかと思える。ならば、会社は、毎月払うべき給与の一部払うことなしに数十年も繰り延べているとなるのだろうか。また年限が支給基準に満たない人には支給しない。それは社員がきちんと働いたことに適正なお金を払っていなかったとなるのだろうか。
少なくとも、役務提供の反対給付として所得税が課税されるものだろう。働いて得られるものである。
では、退職金は誰のものか。当然、働いた人のものである。しかし、熟年離婚に見られるように、退職金は配偶者のものでもあるという判断が下されている。長年、働いてきた人を支えてくれた人にも当然のこととして、そのお金に対する権利がある。ならば、毎月もらう給料だって、半分?は配偶者のものという考え方になるのではないだろうか。
とするならば、配偶者も税金の申告を行うことが自然に思える。それが現実的でなければアメリカのように夫婦合算申告を行うことが理屈に合う。
さて、アメリカから見るとこの退職金(特に一時金)という考え方が基本的にはない。給料でしかない。そのために、日本の退職金をもらってアメリカに申告するケースでは、退職した年の給与所得が特別に多くなってしまう。
日本は退職金に対する税金が優遇されている。所得控除や2分の1課税とか言うので、税金は小さい。アメリカは、所得を分けて課税するわけではなく、あくまで給与所得が大きくなるだけだ。そうすると累進課税により最高税率で課税されてしまうことがあってもおかしくはない。
日本で課税されているから、アメリカの税金に対しては外国税額控除が取れるだろうと考えるかも知れない。しかし、アメリカの税金>日本の税金となる限り、アメリカの税金-日本の税金=アメリカに支払う差額の税金となる。これはつまるところ、アメリカに払う税金が支払い総額で、それを日本とアメリカで分けていることでしかない。
さらに、アメリカの所得が1月から12月で、日本の税金の発生が翌年にずれる(3月15日の確定申告期限)と、日本のその分の税金を翌年でしか使えなくなる。翌年、アメリカの所得が小さくなってしまうと、その外国税額もうまく活用できなくなってしまう。
アメリカの市民権やグリーンカードを持っている方は注意が必要だ。