連邦遺産税での話だ。アメリカ市民同士の夫婦と、日米市民の夫婦、さらに日本人同士の夫婦のケースがある。日本人同士の夫婦で、なぜアメリカの連邦遺産税なのかと言えば、相続の対象になる財産がアメリカにあるからである。それはともかくも、財産をもらう人がアメリカ市民であるかアメリカ市民ではないという場合で、遺産税の結果が大きく異なる。
連邦遺産税においても、配偶者控除と呼ばれるありがたい仕組みがある。つまり、夫婦が築いた財産が、夫婦のうち片方が無くなることにより、生存配偶者に相続される。この時に、配偶者に財産が相続される時には金額無制限の配偶者控除が存在する。これにより配偶者の相続には一切、遺産税がかからない。
例えば、夫婦が一生懸命働いて家を取得する。この所有権を夫婦共有とする。アメリカでは“生存配偶者が相続をする夫婦共有”というやり方をすることがある。夫は亡くなり妻が残ったとする。この家が10億円の価値があったとして、半分の5億円分が故人からその妻に相続される。この5億円については配偶者控除があるので一切、遺産税がかからない。
もともと夫婦であればこの仕組みが適用できた(1988年以前)。ところが、残された配偶者が外国人の場合、不都合なことが頻出した。仮に日本人としよう。アメリカ人の配偶者が亡くなると、日本人もそれなりの年齢になっている。すると、一人になって老後をどうするかと言えば、兄弟姉妹が住んでいる日本に帰りたいということになる。これがとりもなおさず、アメリカの税金から将来ともすり抜けてしまうことがあった。
そこで、アメリカの税務当局は生存配偶者がアメリカの市民ではない時には、無制限の配偶者控除を使えなくしてしまった。
生存配偶者がアメリカ市民の場合は、相変わらず無制限の配偶者控除を使える。日本人(=外国人)が財産をもらう場合、原則的に課税されることになってしまう。税金を払った後は、どうぞ、日本でもどこでも外国に出てもいいですよという考え方だ。
これが嫌な日本人は特別なトラストを作り、税金の繰り延べをするしかない。相続財産はアメリカにあるトラストの中に取り込まれるので、自分の思うように処理できる範囲からすり抜けてしまう。