半年ほど前のことだが、時事通信のニュースが“帝京大学元総長の相続で海外金融資産約15億円の申告漏れが指摘され、過少申告加算税を含め4億円を追徴された”と伝えている。遺族がこのお金の存在を知らなかったと言われる。詳しい内容がわからないが、適正な遺言を作っておかなかったのだろうか。
遺族がこのお金の存在を知らないということなら、この運用益などをもらっていなかったのだろう。海外から定期的にお金が振り込まれてくると、なぜそうしたお金が振り込まれてくるのか疑問を持たないはずがない。さらに外貨が振り込まれるので、すべて白日の下にさらされる。遺族は全く知らなかったのだろう。
一般化して考えると、こうしたお金は自分自身のためというより、自分の家族のために金融資産の運用を行う。それ故に、トラストを作り家族を受益人にする。自分は資産運用のプロではない。それ故に、トラストの管理人を任命し、家族の幸せ末永く保証しようとする。
そうすると、遺言や行為能力を失った時にどうするか指示を作ることが欠かせない。自分の身に何か起きた時には、その財産をどう分配するか、相続させるか決めておく。その取り決めの内容に従い、財産は渡されてゆく。こうしたスキームを作っておかないと、自分が行為能力を失ったり、死んだ場合には大変困ることになる。
海外の場合には、日本法で遺言や永続的委任状(durable power of attorney)にあたるものを作っても、その通り有効になるかどうかは不確定なことがある。その国が自国の法を差し置いて、外国たる日本の法を認めるかどうかわからない。その点では、財産が存在し、そうしたスキームを運用している国の法律に基づいて自分の意志を実現することが必要だ。
本人しか知らないことだったのだろう。きちんと遺言を残し、そのお金をどうするのか最後まで責任を持てば、日本の相続財産から落ちることがなかったのではないかと思える。