IRSは2010年11月16日、スイスの銀行最大手UBSに対する民事訴訟を取り下げた。もともと、スイスの銀行は顧客の情報を開示しないというルールがあったが、IRSの圧力に屈して口座の情報はアメリカ税務当局に渡されるためである。
これは2007年5月に、もともとUBSに働いていたアメリカ人従業員が自発的に米司法当局に、彼が2001年以降働いた違法租税回避行為の詳細を提供したことに始まる。2009年8月には、顧客情報を開示するアメリカ合衆国とスイス協定ができた。しかし、スイスの国内法と抵触するために、スイス側から待ったがかかり実行されなかった。この問題はアメリカとスイスの外交問題になっていた。
最終的に両国は合意に達してスイス政府が4000人の秘密口座の情報を開示した。これによりこの争いは公式に幕を閉じる。そこでIRSはUBSに対しする訴訟を取り下げた。
外国金融口座を所有しているアメリカ人は、外国金融口座の報告書でその事実を報告しなければならない。1970年の銀行機密法に始まる。しかし、この報告書は心理的な抵抗もあって書きにくい。そのために今から10年前ではきちんと報告をする人の割合が低かった。
2001年の9・11事件もあり、外国銀行の隠し口座が租税回避行為だけではなく、テロ資金に流れているのではないかと国家安全保障上からも問題となっていた。とくに取り締まりが厳しくなってきたのはここ5年程前からである。
金融口座を報告しなかった人は、かなり大きな利子と罰金を払うことになる。IRSから摘発される前に自発的に名乗り出た方が、少しでも情状を酌量してもらえるはずだ。