アメリカの税務申告書を記入する時に、どのくらい時間がかかるかと言う標準時間がそれぞれの申告書のフォームに記載されているのがおもしろい。何しろ、代表的なForm1040でこれを記入するには13時間以上かかるのだ。そんなに時間がかかるかと言いたいが、あながち間違いではないようにも思える。タックス・ファウンデーションのデータによれば、アメリカの税法は60,000ページを超え、聖書の単語数が773,000語であるのに何と9,000,000語を超えて、毎年増え続けている。聖書の12倍ほどの分量と言うことになる。アメリカ全体では何と毎年62億時間を費やしているというのだ。この税法を読むために費やすコストが2,034億ドル(約20兆円)に値する。こうなると、税法の複雑さは経済の阻害要因にもなりかねない。
ブッシュ大統領は、2005年に1月に共和・民主両党からなるパネルに、長期経済成長を促し雇用創出をするアメリカ税法の簡素化の方法を諮問している。このパネルのスピーカーとしてクローディア・ヒル女史が意見陳述を行い、Alternative Minimum Taxの廃止を強く訴えた。もともと、税法の改革試案を6ヶ月でまとめると言う力の入れようだったが、さすがに半年では無理で、それでも10ヶ月かけて大統領の連邦税改革パネルは改革案をまとめ、大統領に2案を報告した。その違いはビジネスの課税で大きく異なる。
クローディア・ヒル女史の意見陳述 www.taxreformpanel.gov/meetings/
最初の案は"税法簡素化プラン"で、6つのタックスブラケットを4つにする。最高税率は35%から33%になる。二つ目の案は"成長・投資の税プラン"で個人のタックスブラケットを3つにし、最高税率は30%とする。
両案とも標準控除・個人控除・他の控除をなくして家族控除を作り、結婚している所帯には$3,300、独身者で扶養する子供ありには$2,800、独身者で扶養する子供なしには$1,650とする。このベースに子供一人当たり$1,500、扶養家族あたり$500を加算する。
さらにAMT(代替最小限税)を廃止する。パネルは高額所得者の住宅ローン利子控除を少なくする、雇用者が与える納税者一人当たり$5,000、所帯あたり$11,500まで、保険を非課税として、それ以上は課税対象とする。現在はすべて非課税、州・地方税を連邦の項目別控除からなくするという。
これにより個人所得税申告書1040の記入行が72だったものを32にして、4x6のインデクスカードの裏表にキレイにおさまる。
また、ビジネスと投資サイドに関しては最初の"簡素化"プランはキャピタルゲインの最高税率を半減し、株式配当を非課税とする。大企業の最高税率も35%から31.5%にする。二つ目の"成長"プランは利子控除を廃止するが、設備の即時償却を可能にする。大企業の課税率30%を15%にする。
内容的には賛否両論があり、来年ブッシュ大統領が税法改正を提案しても、議会選挙や大統領の不人気など、両党からの抵抗も予測され、どのようになるかは予断を許さない。大きな税法の改正は1986年以来行われておらず、それ以来の大きな改正になる可能性はある。
アメリカは税制改正をやらねばならないところに来ており、いずれ簡素化に向かうはずだ。しかもかなり大きく舵を切っていくことも考えられる。ここにアメリカのダイナミズムがある。
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