スーパーマンがとうとうアメリカ市民権を放棄する意志があるのだという。漫画の世界の話でどうでも良いではないかと言う割に、大きな反響を呼んでいる。ヒーローがアメリカ人でなくなるかもしれず、マスコミの取り上げ方はさすがにスーパーマンだ。
漫画のことながら、市民権を実際に放棄したのではなく、放棄することを考えているというわけだ。では、なぜ市民権を放棄しなくてはいけないのか。アメリカだけの真実、正義ではなく、アメリカの舞台から世界の舞台に飛び出そうという。折も折、何が正義で何が正しいことなのか。漫画が政治的メッセージをもつのも面白い。
ところで税務の話だ。スーパーマンであるクラーク・ケントは生まれながらのアメリカ市民ではない。クリプトン星からやってきたというので、移民?と言うのかもしれない。この場合、彼は税務上の手続きをしなくてはいけない。
彼と同じように、日本においてアメリカ市民権を放棄しようという場合、アメリカ大使館または領事館で書類上の手続きが必要になる。これはアメリカ市民権を放棄するという宣言を行う。さらに、税務上の手続きが出てくる。実は税務上の手続きが必要になることはアメリカ大使館でまったく触れられないかもしれない。
アメリカ市民権を放棄する日まではアメリカ市民だ。それ故にアメリカ市民としての申告が必要となる。さらにその日以降はアメリカ非居住者となるが、非居住者としての申告もしなければならない。
仮に2011年5月9日に市民権を放棄すると、2011年1月1日から5月9日まではアメリカ市民だ。5月10日以降はアメリカ市民でなくなる。2011年はアメリカ市民であると同時に、非アメリカ市民であるということの二重ステータスになる。毎年行っている申告を、2012年にもう一度行うので、面倒ではあるかも知れないが何とかなるだろう。しかし、本当に注意が必要なことは出口税の話になる。
ある条件のもとにおいては、アメリカ市民になった時と放棄をした時点でのキャピタルゲインの課税が起きてしまう。通常、キャピタルゲインは実現している。しかし、この場合は未実現であることが何とも悩ましい。お金の裏付けがないところに、税金の支払いが起きるので大変なことになる。
そんなことがあるのだったら、放棄などしなかったのにと言ってももう遅い。これは市民権だけではなく、グリーンカードでも同じことが起きる。
スーパーマンもきちんと税金の申告をしなければ、アメリカ市民権をきれいに放棄できないことを知っているのだろうか。
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