思い込みとは、“ある考え方に執着し、合理的な推定の域を超えて、固く真実だと信じること”だそうだ。たいていは悪い意味で使うと思うが良い意味もないわけではない。アメリカの税務に接していて様々な思い込みに出くわすこともあるし、大体自分が思い込んでいることもある。
まずは自分の思い込みだ。日米租税条約がある。日米の課税関係についてどうなんだろうと思う時に必ず手に取る辞書のようなものだ。税務を行っていなければ日米租税条約など手に取ってみることはないだろう。
初めてこの日米租税条約の条文を読んで、すらすらわかるという人は相当頭の良い人ではないかと思う。何度も何度も読み返し、メモをしながら時間をかけて理解することが多い。場合によっては和文より英文の方が理解しやすいこともある。
こんな状況なものだから、自分が条文を読んでいるのではなく、条文に読まされている。自分の思い込みは“日米租税条約とは日本とアメリカの租税条約で、日本人とアメリカ人がこの条約で規定される”というものだ。賢明な皆さんはどこが変だかすぐ分かったかもしれない。日本人とアメリカ人と言うのが曲者だ。そうやって理解しても自分は日本人なので間違いではない。
条約は国と国の間で結ばれ、その国民に効力が及ぶと考えると、ひっくり返して言えばその国民でなければ効力が及ばない?となってしまう。日本であれ、アメリカであれ、日本国籍、アメリカ国籍以外の人がたくさん住んでいる。例えば日本に日米国籍以外の方が日本人と結婚して住んでいる。日本の居住者で、日本に税金を払っている。この人がアメリカに預金口座を持ち、アメリカの預金利息を得た場合、日本国籍でなければ日米租税条約の適用除外となると、とても大変なことになってしまう。
何を言いたいかと言えば、国籍だけではなく、居住者を入れないとおかしな話になってしまう。居住者の中にはアメリカと租税条約のない国から来ている人もいるわけだ。日本またはアメリカの居住者となったばかりに、そうした人も租税条約の恩恵を受ける。
すると、租税条約がなくても、すり抜けて恩恵を受けるとおかしいではないかと言うことも残る。ここに一定の要件を置くわけだが、単純に国籍だけではない。
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